事例でみるSWOT分析のコツ
公開日:2018年03月29日
更新日:2018年03月29日

今やネットショップ運営の際の戦略立案に際し、SWOT分析は必要不可欠なフレームワークと言えます。
今回は、これからネットショップ運営を開始する事業者や、ネットショップ運営は行っているが戦略がおかしいと感じる事業者に向けて、マーケティングの基本であるSWOT分析の具体的な分析方法についてお伝えいたします。
SWOT分析とは
SWOT分析とは、組織を強み、弱み、機会、脅威の4つに分けて分析、評価するマーケティング手法で、経営戦略を立てる際などによく用いられるフレームワークです。
SWOT分析の項目は、外部環境(機会、脅威)と内部環境(強み、弱み)に分けて考えます。まず外部環境において、社会や競合など、自組織の外にある要素で、自組織にとって有利になりそうなもの(=機会)、不利になりそうなもの(=脅威)を挙げます。そして内部環境において、自組織(今回の場合はネットショップ)が現在持っている強みと弱みの要素を挙げていきます。
具体的に事例を挙げ、SWOT分析及び評価をしてみます。
例)地方で実店舗を持つ酒屋がネットショップ運営を行う(行っている)ケース
外部環境(機会、脅威)
外部環境から挙げていきますが、考え方としては「若年層の飲酒離れが増えている」といったマクロな視点(大きな観点)と、「同じ商品を扱うネットショップが複数立ち上がっている」といったミクロな視点(小さな観点)、両方の軸で考えた方が良いでしょう。外部環境は、世の中の消費行動であり自社の努力で改善していくことが難しい場合が多いと言えます。そのため、周囲で起こっていることや競合の動きを細かく調査する必要があります。
具体的には、以下のような問いかけを基に分析します。
- 現在いる市場はどう変化しているか、していないか
- その変化に競合はどう対応しているか、もしくは対応していくのか?
例題の酒屋に当てはめると次のようになります。
機会 Opportunities
- 実店舗があるため、常に新規来店客の認知度が拡大している
- 新たな銘柄や季節商品などが入荷すると、既存顧客に対して試飲会を行っている
- SNSの運用を行っており、入荷情報を発信している
脅威 Threats
- 若い世代がお酒を好まなくなってきている傾向がある
- スーパー、コンビニエンスストアや格安販売店舗の存在により、代替品需要が増えている
- 卸をしている飲食店への客足減少による卸販売の流通額の低下
- 規模が小さい為、同業種の営業展開に追いついていけない
内部環境(強み、弱み)
次に、内部環境を資産や設備、顧客サービス、システム、インフラ、ノウハウ、マネジメント、生産体制、コスト、価格、手段、ブランディング、USP(自社独自の強み)、企業理念などの項目にそって分析します。ネットショップであれば、デザインやシステム、広告などの販売面、商品の仕入れ、開発など生産面、両方での強みと弱みを挙げてみましょう。
自社の強み Strengths
- 実店舗を運営しているので、来店する既存顧客が多く、店名も認知度が高い
- 利き酒師、焼酎アドバイザー、ワインソムリエの資格保有者がいる
- 各地の蔵元より直接仕入れが行われている
- プレミア価格が付く、入手しにくい商品を定価販売している
弱み Weaknesses
- 実店舗運営がメインの為、販売数や売上に限界を感じている
- インターネット販売の知識が無く、ネットショップ運営が行われていない
- 業界的に、粗利益が低い商品が多い
内部環境の分析は自己で分析を行うため、どうしても主観的になってしまいがちです。分析をする際には、比較するポイントを複数箇条書きにするなどして競合との比較をしっかりと行う必要があります。そうすることで客観的な分析をすることができます。また、冷静に分析が行える第三者に支援を依頼するもの良いでしょう。
分析から推測できる戦略について
外部環境と内部環境の項目が全て埋まったら、クロス分析(クロスSWOT分析とも呼ばれます)を行うことをおすすめします。クロス分析とは、強みと機会、強みと脅威、弱みと機会、弱みと脅威という4つを掛け合わせて具体的な戦略にまで落とし込むフレームワークです。
S(強み)×O(機会)
再優先事項はS(強み)×O(機会)「強みを生かして機会を勝ち取る」方法です。例題の酒屋では次のようになります。
- 各地の蔵元から仕入れたお酒を「入荷情報」としてSNSで発信する
- 利き酒師、焼酎アドバイザー、ワインソムリエの資格保有者による日本酒、焼酎、ワインとカテゴリーを分けた試飲会を定期的に開催しイベント情報としてSNSを使って告知を行い、試飲会の状況の投稿を行う
S(強み)×T(脅威)
次にS(強み)×T(脅威)「強みを活かして脅威を機会に変える差別化」を考えます。
- 若い人が来店しやすいイベントを企画し、来店のきっかけを作る
- 小さな専門店としてプレミアムがつく酒類販売へ特化する
上記と同様に、次の2つに関しても検討することで有効な戦略を明確にすることができます。
- W(弱み)×O(機会)弱みを補強して機会をつかむための施策とは?
- W(弱み)×T(脅威)弱みから最悪のシナリオを避けるためには?
仮説と行動指針を立てる
クロス分析まで完了すれば、成功のための仮設を立て、行動指針の作成まで進めることも可能です。その後は、しっかりとPDCA(Plan・Do・Check・Action)を回して行動していきましょう。精度の高い仮説を立てることが出来れば、後に良い結果が導き出されることになります。
まとめ
このように全国に同業種が多い業界においても、SWOT分析を行い、評価を行うことで、ネットショップ運営の事業展開におけるマーケティング戦略が可能となります。他社には無い最大限の強みを見つけ、逆に弱い部分はバランスよく補っていくなど、同業種が展開できない内容でネットショップ運営を行う事が可能となるでしょう。