モノ売りからコト売りへ!
商品価値を高める方法とは

競争が激しくなる小売業において、これからはモノ売りではなくコト売りをしなくてはいけない。これはマーケティングの概念として語られるようになって久しい考え方です。
今回は、モノを販売することで成り立っているネットショップがコト売りに進化するとしたら、どのようなアプローチがあるのについてご紹介しましょう。
商品価値を決める「体験(=コト)」とは
過去に内閣府が実施した世論調査によると「物質的にある程度豊かになったので、これからは心の豊かさやゆとりのある生活をすることに重きをおきたい」と答えた人の割合が63%を超えていました。年齢や職業にもよりますが、可処分所得が多く購買力があると思われる層ほどこういった考えを持っているようです。
つまり、お金を使えるという状況で単純にモノを増やしていくことより、モノから得られる体験を重視していく消費傾向が強まっているということです。モノ売りからコト売りへの転換と言っても、モノ(物販)かコト(体験提供サービス)かといった分け方ではなく、人々が求めている体験(コト)を自社の商品やサービス(モノ)でどう具現化することができるかという視点を持つことが必要です。
コト売りで商品価値を高めるためには
それでは、コト売り時代にネットショップが商品価値を高めるための事例をご紹介します。
事例①
同じ付加価値を届ける商品を競合視する
競合視すべきモノ(商品)が必ずしも同じ分野の競合にのみとは限りません。例えば、「高貴なひと時」をコンセプトにしたアイスクリームをネットショップで扱うとします。同じ価格帯の高級アイスクリームをベンチマークにするより、化粧品やリラックスグッズ等の販促事例が参考になることもあります。この商品を通じて、高貴なひと時を体験することができますよという促しが伝われば、それに共感する顧客は購入行動に移ります。
大切なのは提供できるコト(体験)なので、航空会社のファーストクラス等の 「高貴なひと時」をイメージできるページをお手本にするのも良いでしょう。
事例②
SNS映えを意識する
SNSに商品の写真をアップして、いいね!をもらうことを求めている購入者が増えているのは、コト(体験)を求めている典型例です。代表的なSNSの特性を知り、それぞれのメディアに適した商品設計を考えていますか?例えば、「Twitterなら、ちょっと笑える絵柄等の人に教えたくなるような体験」や「Instagramなら投稿者のライフスタイルが素敵に見えるデザイン」等です。
どのSNSにも共通して大切なことは、スマートフォンで撮影した時にキレイな写真であるかということです。ネットショップに掲載する商品写真のようにプロのカメラマンが物撮りするような状態ではなく、素人がスマートフォンのオートフォーカス機能でストレスなく撮影できるような商品デザインや配色が理想的です。
事例③
カスタマージャーニーに合わせた付加価値を提供する
カスタマージャーニーに合わせた付加価値を提供できていますか?商品(モノ)の購入を検討している顧客のペルソナ設定から満足してもらえるユーザー体験(コト)までの道のりを図式化し、見える化させることで、大きなヒントや必要な施策が見つかります。
事例④
限定感を出す
人の深層心理として、損失回避性に対するモチベーションの高さを挙げておきましょう。「冬季限定」等で販売期間を定める際に、「今、買わないとなくなりますよ」というモノ(商品)の価値ではなく、「美味しく召し上がっていただけるシーズンを逃さないでください」というコト(体験)の価値を伝えるメッセージ性にしてみるのもいいかもしれません。売り手視点ではなく、あくまでも購入者視点で考えることが必要です。
事例⑤
第三者からの口コミを得る
モノ(商品)を購入する際に、「多くの人から支持されているものを選んだ」という自己正当化が背中を押します。多くの人が所有しているものを自分も所有したという心理より、そしてまた、コト(購入者体験)をSNS等で共有したくなるのが人の常です。
まとめ
商品価値を高めるためにコト売り戦略を考える上で大切なことは、一にも二にも利用者の視点に立つことです。商品を検討しているユーザーがどのような体験を望んでいるのか?商品を受け取った後でその体験をどのように周囲にシェアするのか?商品価値そのものの視点を変えていくことで物質的なゆとりより、心の豊かさが求められる時代に良い顧客体験を生み出し、優良顧客にリピートしてもらえるネットショップに成長しましょう。