的確な在庫管理のために!
需要予測の手法
公開日:2022年12月20日
更新日:2022年12月20日

的確な在庫管理のためには、できるだけ精度の高い需要予測データを得ることが理想です。
需要予測はどのような考え方、方法で行えば良いのでしょうか。
将来の需要を予測するために考案されているさまざまな手法の中から、その一部をご紹介します。
小売業の需要予測はどこまで正確にできるのか?
未来に起こることを完全に予測することは当然ながら不可能です。小売業における需要のみに絞ってみても、その増減には季節、競合商品、景気動向等さまざまな要因が絡んできます。それらのデータを網羅しながら未来をシミュレーションするには精度の高いノウハウや膨大なリソースが必要となるでしょう。
しかし、需要予測のために役立つ計算方法がないわけではありません。これまで多くのやり方が考案されていて、中でも過去の時系列データ※をベースに将来の需要を推測する方法は広く利用されています。
※時系列データとは、ある一定の間隔で測定された結果を数値化した統計データ。
需要予測手法の例
時系列データを駆使した需要予測として移動平均法や指数平滑法等があります。
移動平均法
移動平均法は過去の売上の移動平均を算出して将来を予測する手法です。簡単に言うと、昨年の売上実績を平均して需要の予測を行います。考え方としても最もシンプルな計算方法と言えます。
例えば、4月の売上が100万円、5月が150万円、6月が125万円の場合、7月の需要を移動平均方で算出すると125万円になります。
(1,000,000+1,500,000+1,250,000)/3=1,250,000
指数平滑法
指数平滑法は過去の予測値と実績値を割り出し、両方を使って需要を予測する手法です。
予測値=a×前回実績値+(1-a)×前回予測値
というものになります。
前述にある「a」は、平骨化係数と呼ばれています。前回の実績値が予測値からどれだけ外れたかを算出し、それに一定の係数「a」を掛けて修正値を求め、さらに前回予測値に加減して予測値を導き出しています。(aは0以上1未満の任意の数字)
aの設定値は、1に近いほど実績データの中でもより新しいデータを重視した予測ができ、0に近いほど過去データの傾向を重視した需要予測が行えます。
例えば、4月の売上が100万円、5月が150万円、6月が125万円で、7月の需要予測を125万円と予測していたが実際には100万だった場合、8月の需要予測は105万円になります。(a=0.8と定義)
0.8×1,000,000+(1-0.8)×1,250,000=1,050,000
需要予測において重要なこと
これらの需要予測から得られたあくまで参考値です。需要予測をより正確なものに近づけて在庫管理に活かすには、得られた予測値が実績値とどう異なるのか、なぜ異なるのかを自分自身で細かく分析し、結論を定義していかなければいけません。
特に取り扱う商材とターゲットの特性については十分に研究、考慮する必要があります。自身が扱っている商品において、最も需要の変動に影響を与える要因は何なのか、それを把握することができれば、需要予測はより意味のあるものになるでしょう。
まとめ
どのような要因によってどの程度需要が左右されるのかを把握するには、ある程度の期間を使って試行錯誤を重ねていくしかありません。しかし過去の実績も考慮し、需要予測の手法を採り入れつつ在庫調整を続けていけば、確実に在庫管理の需要予測精度は上がっていきます。自社ならではの精度の高い需要予測のノウハウを確立すれば、それが競合他社に対しても差別化ができる財産となります。より確実かつ、成果が見込める需要予測を行って、さまざまな機能改善に活かしていきましょう。