ネットショップにおける
値引きとポイント割引の
関係について
公開日:2023年03月29日
更新日:2023年03月29日

多くのネットショップが行っている「値引き」と「ポイント付与」。この2つは同じように見えて、実はそれぞれ異なる特徴を持っています。
今回はネットショップにおける値引きとポイント付与の違いや活用法をご紹介します。
ネットショップにおける価格戦略の基本
小売業で通常販売価格とセールによる値引き(割引)価格という2つの価格を設定するのは、価格戦略における常套手段です。一方でネットショップにおいては、基本料金を設定しておいて、利用者が商品を購入するたびに次回以降のショッピングに使えるポイントを付与(還元)するというリピート購入を促す価格戦略もメジャーになっています。
この値引きとポイント付与の2つの戦略の違いとして、同じ商品を20%割引にするのと、20%ポイント付与にするのとでは、実質的な割引率が異なります。例えば、10,000円の商品を20%オフで売る割引の場合、購入者が支払う金額は8,000円となり、割引率は20%となります。
では、10,000円の商品を20%ポイント付与(還元率20%)で売るとしたらどうでしょう。これは10,000円の商品を売って、その後、2,000円分の商品を無料で提供するということです。つまり、全体で言えば12,000円の商品を10,000円で売っていることになります。すると実質割引率は約16.7%になります。
ポイント付与における実質割引率は、値引き額(2,000円)÷商品の価格(12,000円)×100=(16.6666…)という計算式で求められます。つまり、商品を20%オフで販売する事と、商品購入後に20%のポイント還元を行うのでは、実際のところ割引率に差があるということです。
値引きセールとポイント付与それぞれのメリットとは?
ネットショップ運営者にとって、それぞれどのようなメリットがあるのかを見てみます。
値引きセール
値引きセールを開催する事で売上やコンバージョン率(CVR)の向上に直結します。まず基本的に、1,000円の商品を500円で売って、通常の2倍以上の数が売れれば売上は増加します。また、一度でも商品を購入してもらえば、その体験が「買ったことのある信頼できるサイト」という認識につながる可能性があります。このように、値引きセールはとくに新規顧客に対してアピール度が高い戦略です。
ポイント付与
ポイント付与はポイントが貯まることによって、直接的に次回利用へのモチベーションがアップするのが特徴です。
ある商品が複数のショップで売っている場合には、ポイントが使えることがショップ選択の理由付けとして機能します。また、固定費は一定のまま、利用者を増やすほど粗利率が高くなる商材(例えばレンタルDVD等)では、ポイント付与戦略がより適しています。つまり、ポイント付与はリピート客に対してアピール度が高い戦略です。一般的に、日本人はその場の値引きよりも、利用者自身が蓄積をコントロールできるポイント付与のほうが好きな傾向があるとも言われています。
値引きとポイント付与の違い
改めてまとめると、両者の最も大きな違いはリピーター確保につながりやすいかどうかということになります。値引きセールはコンバージョン率が向上する反面、それだけでは次回の購入に直結するとは言えないので、どうすれば値引きをきっかけに次回も購入したいと思ってもらえるかを考える必要があります。
また、値引きは販売商品の利益額の減少にもつながるので注意が必要です。初回購入時に少しでもネットショップに興味や好意を持ってもらえるような工夫や、ポイント付与との併用等を検討した上で値引きセール等の実施をすべきでしょう。
一方、ポイント付与では、購入者に「ポイントを貯める楽しみを意識」してもらうことがカギとなります。定期的にポイント還元率アップのキャンペーンを行う、期間限定ポイント等、ポイントが失効しそうなユーザーにはメールで案内を送る等の施策が来店を促す事となり効果的です。
値引きとポイント付与、どちらもネットショップにとっては重要な価格戦略です。それぞれの特徴やメリットをしっかりと把握して、自社にとってバランスよく最大限に効果が発揮できる活用法を見つけましょう。