注目の中国市場に向けた越境ECの状況
公開日:2023年03月29日
更新日:2023年03月29日

越境ECとはインターネットを通じて国境を跨いだ電子商取引のことを言います。中でも近年、注目されているのが巨大な中国市場を対象としたビジネスです。
今回は、中国市場を見据えた越境ECの現状と、注意点についてご紹介します。
中国の越境EC利用額
経済産業省が公開している「平成28年度電子商取引に関する市場調査」によると、中国の2016年越境EC(日本・米国)市場規模は2兆1,737億円、対前年比で32.6%の成長を見せています。このうち、日本経由の市場規模は1兆366億円で、米国経由の市場規模1兆1,371億円とほぼ2分しています。
このことからも分かるように、中国の越境EC市場は現在、非常に活気があり、今後も右肩上がりの状況が続くと期待が寄せられています。
中国人消費者が越境ECを利用する理由
中国人消費者はなぜ越境ECを積極的に利用するのでしょうか。理由の上位に来るのは、「商品の品質が保証されている(正規品である)」、「低価格」、「国内で入手できない」、「好きなブランドである」、「選択肢が多い。豊富な品ぞろえ」、「海外で購入し、リピート購入したい」等です。(iResearch 2016 China's Cross Border online Shoppers Reportより)
前出の「平成28年度電子商取引に関する市場調査」では、インバウンド(訪日外国人旅行者)と越境ECには密接な関係があるとも分析しています。
中国からの2016年のインバウンドは637万人で最多。訪日中国人客が日本滞在中に買った商品を帰国後もリピート購入するという消費行動が発生していると見ています。また、中国のインターネットユーザーにとって日本は、米国に次ぐ人気のある越境EC対象国であることも注目しておくべきポイントです。
中国消費者に向けたEC展開で意識すること
これらを踏まえれば、日本で中国消費者をターゲットとした越境ECを展開することは大いに可能性のある戦略と言えます。ネットショップを中国消費者向けに構築する際にはどのようなことを押さえておくべきなのか、意識しておきたいポイントを挙げてみましょう。
言語対応
中国語には繁体字(はんたいじ)と簡体字という2種類の漢字が存在します。繁体字は古来よりある漢字で、現在では主に台湾、香港、マカオで使用されています。日本の漢字に近い文字です。
一方の簡体字は繁体字を簡略化した漢字で、中国本土ではこちらのほうがメインに使われています。越境ECを展開するネットショップにおいて中国向けの言語対応をする場合は、できればこの両方を使用したいところです。中国本土のみを対象とするなら簡体字だけでも良いのですが、台湾、香港、マカオも市場として無視できません。
インフラの整備状況
現在では日本からの通信データはアメリカ、さらに台湾や香港を経由して中国へ送る方式が一般化しています。しかし中国国内のネットワーク回線の環境が良くないこともあり、中国から日本のWebサイトを見ようとすると重くてなかなか表示されないという状況もあるようです。中国向けのページはなるべく軽く作るように意識しましょう。中国国内のサーバーを利用する方法もありますが、その場合は中国法人を設立し、中国で銀行口座を持つ、初期投資が必要等の条件をクリアして「営利ICPライセンス」を取得しなければならず、非常にハードルが高いのが難点です。
スマホ対応
中国都市部のスマートフォン保有率は日本以上と言われており、ネットショッピングもスマートフォンの利用が主流のため、これを無視するわけにはいきません。スマートフォンに対応したECサイトを構築することは必須です。
決済手段を用意
日本ではクレジットカードによる決済が増加していますが、中国ではクレジットカードを所持している人はそれほど多くありません。そのため、銀聯(ぎんれん)や支付宝(アリペイ)等が中国で支持されています。
銀聯は、いわゆるデビットカードのようなもので、決済時に銀行口座からリアルタイムに商品代金が支払われるシステムです。支付宝(アリペイ)は、支付宝(アリペイ)の口座に入れておいたお金を使って簡単に決済ができる仕組みです。商品が届いたことを連絡することで始めて支付宝(アリペイ)から販売先であるネットショップに代金が送付されるというシステムが特徴です。
中国消費者に向けたEC展開をするのであれば、上記の決済手段を導入する必要があると言えるでしょう。
まとめ
中国EC市場、中国市場向け越境ECは今後ますます拡大していくと考えられます。しかし、中国をターゲットとしたネットショップを構築、運営を行う際は注意すべき点が多くあることも覚えておきましょう。
外貨決済・銀聯カード決済についてはこちらも合わせてご確認ください。
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