
国や地方公共団体では、企業をサポートするためのさまざまな補助金制度を用意しています。とくにベンチャー企業、中小企業向けの制度は近年、充実してきています。
これらのうち、今回はネットショップ運営に使うことのできる補助金制度についてご紹介しましょう。
そもそも補助金とは?
補助金とは、国や地方公共団体がさまざまな政策ごとに、その目標に合致した事業の実施をサポートするべく企業、民間団体、個人、自治体に対して交付する金銭のことです。
対象となる経費や補助の割合、上限額などは補助金の種類によって異なりますが、一般的には事業に必要な設備投資費をはじめ、研究開発費、広告宣伝費などに使うことができます。補助を受けられるかどうか、いくら交付されるかは、「事前の審査」と「事後の検査」によって決まります。審査には申請が必要で、事業計画書などによる書類審査と、面接が行われます。
また、補助金に似たものに助成金があります。こちらは主に厚生労働省が実施する雇用関係の支援金のことを指します。従業員の雇用維持、新たな雇い入れ、雇用環境の整備など50種類以上の助成金があり、企業は自社の状況に合わせてその都度必要な助成金を受け取ることができます。それぞれに年度によって全体予算や採択数に変更があったりするのが通常となり、年度によっては2次募集なども行われます。また申請から実施完了までは結構な期間を要することを認識して置きましょう。
ネットショップ運営で使える補助金とは
補助金はネットショップ運営者も利用することができます。
例えば中小企業庁の「小規模事業者持続化補助金」は、小規模事業者が商工会・商工会議所の支援を受けて経営計画を作成し、その計画に沿って販路開拓に取り組む費用を補助することを目的とした補助金です。
具体的には、販促用チラシの作成、販促用PR(マスコミ媒体での広告、Webサイトでの広告)、商談会・見本市への出展、店舗改装(小売店の陳列レイアウト改良・飲食店の店舗改修を含む)、商品パッケージ(包装)の改良、ネット販売システムの構築、移動販売・出張販売、新商品の開発、販促品の製造、調達などがその対象イメージとして挙げられています。
過去の例では、対象者は全国の小規模事業者、補助率は補助対象経費の3分の2以内、補助上限額は50万円となっています。小規模事業者とは、卸売業・小売業の場合は常時使用する従業員の数が5人以下の会社または個人のことです。
また、新規に事業を始める人向けには、各都道府県が窓口となる「創業補助金」という補助金制度もあります。対象は創業者で、制度の目的は「新たな需要や雇用の創出等を促し、我が国経済を活性化させること」とされています。平成29年度の創業補助金では、金額は50万円~最大200万円で、補助率は2分の1以内でした。
なお、補助金や助成金は基本的に一般の融資と違って返済の必要はありません。ただし、創業補助金に関しては、収益が出たときに返還(収益納付)する義務があります。
中小機構のネットショップ開業サポート
金銭的支援のほかにも、ネットショップ運営者を対象とした、事業成功に役立つセミナーやイベントへの参加を呼び掛けるサポートもあります。
独立行政法人 中小企業基盤整備機構(中小機構)では、ECに関わる中小企業者を対象とした各種セミナーやイベントを無料で実施しています。内容はECオンライン講座、ECセミナー・ワークショップ、ECマッチングイベント、専門家によるEC活用支援アドバイスなどさまざまです。国内向けはもちろん、海外向けECビジネスについても対象とされています。まずは誰でも見ることのできるオンライン動画を視聴するだけでも、ネットショップ運営に役立つ知識が得られるでしょう。セミナーやワークショップなどには、EC業界に精通した支援企業やコンサルタントが講演やファシリテーターを行うなど、大変具体的な内容である為、多くの学びを得ることが出来ます。
まとめ
このように、ネットショップ運営者が利用できる補助金やサポートは意外に多く用意されています。補助金については、定期的に中小企業庁サイトの「補助金等公募案内」のページなどを見て、自社にマッチする補助金について調べることから始めるのがおすすめです。これらの支援制度を賢く活用してみてはいかがでしょうか。