越境EC参入で注意!
関税の基本
公開日:2023年03月29日
更新日:2023年03月29日

越境ECに参入する際、頭を悩ませることの一つに「関税」があります。国によっては非常に複雑で分かりづらく、また法改正が行われてガラリと内容が変化することもあります。越境ECにおける関税の考え方についてご紹介します。
関税の仕組み
そもそも関税とは、その国の産業を海外との競争から保護するために課せられるものです。関税の具体的な種類としては、商品の価格に課せられる従価税、重量、数量、容積に課せられる従量税、これら二つの税が合わさった混合税などがありますが、これらはその国の法律の改正によって大きく変化する可能性があります。
また、国内の産業を脅かすほどの安価で輸入された商品には、不当廉売関税や相殺関税などが課せられます。これらは特殊関税と呼ばれるもので、WTOの協定で定められている関税であり、通常の関税とは別に納めなければなりません。
越境ECにおいては、商品の種類によって高額な関税がかかることがあり、その関税は購入者が負担するケースが多いようです。国によって関税がかかる品目や税率が異なるため、ECサイト運営側は、どの商品にどれだけ関税がかかるのかを常に把握しておく必要があります。
関税がかかる国の消費者に向けて
ネットショップがすべきこと
関税についてネットショップが行うべきことをまとめると、次のようになります。
各国の法規制を把握する
越境EC参入に際し、対象とする国によって、自社商品それぞれについてかかる関税の税率と額を把握しておきましょう。関税事情、法規制も国によって事情が異なるので、その特徴を知っておくことが必要です。一定額以下の商品を購入する場合であれば、免税となることもあります。
関税について特に複雑なのは、中国の場合です。例えば中国では保税区という越境ECサービス試験地を設定しており、中国国内の保税区である特殊閉鎖区域に商品をまとめて輸送して保管し、注文ごとに通関手続きをして出荷する方式の越境ECモデルがあります。この保税区を利用すると、2018年3月現在定められている一人あたりの1回の購入金額の上限2,000元、年間購入金額の上限20,000元という購入金額の上限まで関税は0%になるものの、ほかに品目によって税率が異なる消費税と増値税という税金がかかり、さらに政府の優遇措置による割引などもあって、最終的な税額がはじき出されます。
各国の法改正に気を配る
各国の関税に関係した法律は今後、改正される可能性があります。中国の越境ECに関わる関税も2016年に改正されたばかりです。中国では現在、越境ECを受け入れるための過渡期にあり、今後も法規制が大きく変わる可能性があると考えられます。
またTPPの11カ国を対象としている場合には、こちらも新しい動きに敏感になっておく必要があります。アメリカの関税がどうなっていくかも不透明です。越境ECの運営を行っていく際は、国ごとにどのような変化があるかという情報をいち早くキャッチし、敏速に対応していくことが求められます。
関税がかかることを購入者に明示する
越境ECで商品販売を行うECサイト上では、購入者に対して必ず関税について明記しなければなりません。関税を負担するのがショップなのか、購入者なのかを示すとともに、商品ごとに本体価格、送料、関税を購入者が負担する場合は関税額など購入者が支払うことになる金額を算出して明示します。関税を自動計算するツールもあるので、これを利用するのも良いでしょう。
まとめ
こうした各国の法律や現地の事情の細部までを把握するのは、ECサイト運営者だけが担うのは現実的に難しい面もあります。専門的知識や情報に関しては、越境ECに強いコンサルティングサービス会社に相談して、アドバイスや運営支援を受けることもできます。越境EC市場に参入してビジネスを成功に導くには、越境EC支援の経験値が豊富であり、きめ細やかなコンサルティングサービスを実施している優秀なパートナーを見つけることが近道かもしれません。