中国向けの越境EC参入時に検討したい中国の保税区とは

中国向けの越境EC参入時に検討したい中国の保税区とは

越境ECビジネスの対象として、この上なく大きなポテンシャルを秘めている中国市場。中国のインターネット利用者人口はまだ増加傾向にあり、中国における日本からの購入額は2016年に1兆366億円だったものが、 2020年には1兆9,053億円になるという推計も出ています(経済産業省「 平成28年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」)。

今回は、中国越境ECと関わりの深い配送方法「直送型」と「保税区型」についてご紹介します。

中国向け越境ECのパターン

中国向けの越境ECの商品配送方法には、直送型と保税区型の2種類があります。なにが違うのか、それぞれの特徴を説明します。

直送型

日本から中国の購入者へEMS(国際スピード郵便)などを利用して商品を個別発送する方式です。直送型では税関審査に時間がかかることがあり、購入者に届くまで10日程度要することも少なくありません。注文が入り次第、都度個別の発送となるため送料が高くなるケースが多いです。

保税区型

中国政府が定めた、国内にある保税区(上海、重慶、杭州など)に商品をまとめて輸送して保管、中国国内から注文が入るとその注文ごとに通関手続きをして出荷する方式です。保税区とは中国政府が越境ECを推進するために設けている越境EC試験区のことで、中国主要都市に点在し、税関が監督管理しています。

保税区型のメリット

中国向け越境ECで近年とくに注目されているのが、保税区型です。

この保税区型では商品をあらかじめ大量に輸送して、中国国内の倉庫にストックしておけます。そのため直送型と比較して配送コストを抑えられることが見込めます。また、中国国内から商品を出荷するため配送時間も短縮でき、購入者の手元まで2~3日程度で届けることも可能になります。さらに保税区に在庫を確保することでEC売上が拡大しても在庫切れや配送遅れが起きづらく、すばやく返品対応などもできるようになるメリットがあります。

つまり安く、早く商品を届けられ、スムーズなネットショップ運営が可能になるということです。越境ECを行うネットショップ運営者にとっては商品を売りやすく、中国国内ユーザーにとっては商品を購入しやすい環境を整えることができます。

保税区型のデメリット

では、保税区型のデメリットはどうでしょう。まず挙げられるのは、中国国内の倉庫にストックした商品が売れなかった場合のリスクが大きいことです。あらかじめ売れる数を見越して中国に商品を送らなければならないため、万一、販売見込みが大きくはずれると保管料と返送費用を支払うことになります。

もう一つ無視できないのは、保税区型の利用は今後の中国政府による越境ECに関する制度がどう変わるかによって影響を受けるということです。例えば税金に関しては、保税区では以前、一般的な輸入よりも税率の低い「行郵税」という税金を支払うことになっていました。しかし2016年4月以降、保税区ではこの行郵税が適用されなくなり、購入金額によっては一般的な輸入制度と同等の扱いとなっています。

そのため通常の貿易と同じ複雑な税関制度が適用されることになり、税率による優位性があるとは言えなくなっています。ただ、中国政府は「越境ECに力を入れる」という方針のもとに新たな税率や新制度を適用するという見方もあり、中国政府における今後の動向についてはまだまだ不透明な部分もあり、予測も難しい状態にあります(2017年12月現在)。

まとめ

現在では、利用者1回当たりの購入金額や年間購入金額(累計)に上限設定があり、直送型でも入境貨物通関単(輸入許可書)が必要など、日本企業にとって中国の越境ECへの参入の際には高いハードルもありますが、今後も市場の拡大が見込める中国EC市場を狙う価値は十分にあると言えるでしょう。

今回紹介した直送型や保税区型といった商品の扱いや配送方法も含め、越境ECについての様々な情報を収集し、まずは小規模な環境からのスタートや商品単位の出品でテストマーケティングをしてみる、または事前に中国越境EC支援の実績があるコンサルタントに相談してみるのもよいでしょう。