マーケティングで役立つ行動心理学

マーケティングで役立つ行動心理学

人間が無意識のうちにとってしまう行動の裏には、何らかの法則や原理が潜んでいるものです。

そうした法則を知っていれば、ビジネスやネットマーケティングに活かすことが可能です。

今回はネットショップのマーケティングにも役立つ行動心理学についてご紹介します。

行動心理学とは

行動心理学とは、人間の行動を観察・研究することで、その心理を分析し、読み取るという心理学的アプローチのことです。

学術的なカテゴリーとしては行動主義心理学、行動分析学という心理学の一体系があります。行動心理学はそれらの学問を参考にしつつ、さまざまな行動を人間心理と結びつけて考え、ビジネスなどに活かそうという試みと捉えられます。とくに近年はマーケティングの世界でよく耳にする言葉となっており、ネットショップ運営においても深く関係があることが認識されています。

マーケティングで使われる行動心理学の例

実際にマーケティングで応用可能な行動心理学の具体例を見ていきましょう。

カクテルパーティー効果

立食式のカクテルパーティーのような場所で大勢の人が雑談をしているとき、直接会話に参加でもしていない限り、その内容は頭には普通入ってこないはずです。しかし、自分の名前が呼ばれる、興味のある話題が出るといった自分事があると自然にその内容が耳に入ってくるという現象が、カクテルパーティー効果です。これは聴覚だけでなく視覚などにも影響することがわかっています。

ネットショップであれば、利用者が自分のことを言われていると思うような促し方や情報を差し込む、関心のあるキーワードを差し込むなどの方法でこの効果を得られます。

損失回避性

損失回避性とは、得をすることを求めるよりも損をすることを回避しようとする傾向が高いという人間心理のことを言います。人間は新しく「利益」を手に入れることを選ぶより、既に手にしているものを失う「損失」を避けるほうを選びがちです。

これは例えばキャッチコピーを書くときに意識しておきたいポイントです。「このメガネをかければハッキリとモノが見えるようになります」と書くより、「ハッキリとモノが見えないのは、自分に合ったメガネをかけていないからです」といったように、視点を変えて書いたほうが利用者の心に響きやすいでしょう。

アンカリング効果

アンカリング効果とは、最初に見た情報や条件が強く印象に残り、それを基準に意思決定や判断をしてしまう心理のことです。人間はまだ情報が十分になく全貌が明らかになっていない状況下では、最初に目についた情報、特に数値にとらわれて、判断にバイアスがかかることがあります。

顕著な例として挙げられるのが商品の価格です。最初に「3万円」という価格を見たあとに「値下げキャンペーンで2万7千円」と書いてあれば利用者は安いと感じます。メーカー小売希望価格を記載して、それよりも安い販売価格を示すのもアンカリング効果を狙ったものです。

ただし、根拠のない「通常価格」と販売価格を比較して同時掲載するなどの手法は二重価格表示と呼ばれ、景品表示法に反することがあるので要注意です。また、通常価格と販売価格に開きがありすぎるなど、こういった手法は、あからさまに利用者からの信頼も失ってしまう可能性もあります。

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単純接触効果(ザイオン効果)

あまり興味のないものや苦手なものでも、何度も繰り返して見たり聞いたりしていると次第に良い感情を持つようになる心理のことを単純接触効果、またはザイオン効果と言います。

セールスマンが何度となく顧客のもとを訪れてコミュニケーションの機会を増やしたり、企業が何度もテレビCMを流したりすることで、自然と好感度や親近感が上がるというのがその例です。インターネットにおいても利用者が商品をなにげなく繰り返し目にするような仕掛けが効果を発揮するでしょう。

ピーク・エンドの法則

ピーク・エンドの法則は、人間はある経験をするときに、最も嬉しかった、悲しかったなどの感情のピーク時と、最後にどう感じたかという印象で物事を評価する傾向があるという法則です。

端的な例は映画やドラマでしょう。最も盛り上がるクライマックス、そしてラストシーンがしっかりと作られていれば、視聴者に比較的良い印象を残すことができます。ブログ記事やサイト内のコンテンツでも、ストーリー性のあるものを作るときはピークとラストには大いに注意を払う必要があります。

ネットショップの商品購入時に当てはめてみると、商品を選び、商品詳細ページに移動して、情報を閲覧、興味が増加し、購入意思が固まりかけ、ショッピングカートへの追加ボタンを押そうと気持ちの高まったタイミングがピークとも呼べるでしょう。

例えばそのボタンの前後に、利用者の求めている情報(価格、サイズ、お届け日など)が分かりやすく書かれている、販売側の気持ちのこもった一言があるといった配慮がされていると、良い印象を長く残すことができるかもしれません。そしてエンドを商品が届いた後とすると、お礼状を商品に同梱する、お礼メールを合わせて送るといったひと手間が大事になります。

まとめ

行動心理学について知ると、自身が運営するネットショップに対して、利用者の興味や好印象を得るためにどのような仕掛けが行えるかというヒントを得ることができます。行動心理学をマーケティング手法の一つとして捉え、簡単にできることから試してみてはいかがでしょうか。